絵本 ハレラマ 文
やまみず まるみ 山水 治夫 絵 遠藤誠
ハルくんは、おじいちゃんがだいすき。
おじいちゃんは、あさおきるのがはやい。
ハルくんなんて、いつもねぼうばかりしている
でも、あるひハルくんは、めずらしくはやくめがさめた。
おじいちゃんのへやにいってみると、 おじいちゃんはいなかった。
1
ふと、にわをみると、
おじいちゃんが おひさまをみながら、ブツブツ、、、いっていた。
「おじいちゃん、なにやってるの?」
おじいちゃんの、ヘンテコリンなことばだか、なんだか きこえてきた。
「ハレラマ!」 「なに? そのハレラマって、おまじない?」
ハルくんがきくと、おじいちゃんはいった。
「いいか、、、こころからの、きよきねがい。
それを、 おてんとうさまにささげよ」
「えっ? なに? おてんとうさまって? きよきねがいって?」
「おてんとうさまは、おひさまのことじゃ。
きよきねがいというのは、ハル、おまえがこころからねがうことじゃ」
ハルくんは、めをつぶって、てをあわせてみた。
なんだかさわやかなきもちになって、おおきくのびをした。
2
そこへ、 ハルくんのいもうとのミーちゃんがおきてきた。
「おにいちゃん。どうしたの?」といったとおもったら、
「アッ!! さいてる。チューリップがさいてる!!」
おはなのだいすきな、ミーちゃんがよろこんでさけんだ。
きのうまでは、かたいかたいつぼみだったのに、、、。
じつは、ミーちゃんには、ねがいごとがあった。
「もりのきや、おはなのようせいたちがみえて、 おはなしができるようになりたいよ」っと、、、。
おじいちゃんは、
「いつか、、、きっと、、、なれる」
こえがしたかとおもうと、もうすがたはなかった。
おじいちゃんは、いつもそうやって、
ふと、めのまえから すがたをけしてしまう。
3
ハルくんはおもいだした。
ハルくんが、まだちいさかったころ、
おまつりで、ぼんおどりたいかいがあった。
おばあちゃんが、ぬってくれたおそろいのゆかたをきて、
いえじゅうみんなで、なつのよまつりにでかけた。
ハルくんとてをつないでいたはずの、 おじいちゃんがいない。
4
「アレッ? おじいちゃん、、、」
なきそうになったハルくんのめにとびこんできたのは、
やぐらにのぼって、たいこをドンドン!!たたいている おじいちゃんのすがただった。
おもわずひきこまれそう。
「おじいちゃん。かっこいい!」
ゆかたすがたがとてもさまになっていたんだ。
スーパーヒーローのようだと、ハルくんはおもった。
5
ヒーローといえば、せいぎのししゃ。
おじいちゃんが、いつかいっていた。
「いいか、、、くらまてんぐは、せいぎのししゃ。よわくただしきものをたすける」
おじいちゃんのスーパーヒーローは、きっとくらまてんぐなんだ。
「ぼくは、どうなんだろう? いまのぼくは、、、」
そう、いまハルくんのクラスでは、 なかまはずれにされているこがいた。
ハルくんは、そのこがきらいではなかった。
おとなしくて、いつもしたをむいてさびしそうだった。
ハルくんのほかにも、そのこにはなしかけてあげたいと おもっているこがいたが、
そんなことをしたら、こんどはじぶんがいじめられる。
たすけてあげるゆうきがなかった。
おじいちゃんのこえがしたようだった。
「せいぎのししゃは、よわくただしきものをたすける」
そのことばが、ハルくんのあたまのなかをグルグル、、、 とまわっていた。
6
よし!きめた。ハルくんは、おじいちゃんがついていてくれるとかんじた。
「なかまはずれになってもいいから、いじめはしない。
じぶんのこころを、しんじようよ」
ハルくんは、つぎのひ、 おもいきってそのこにはなしかけた。
さいしょ、おどろいたかおをしていたそのこは、
なみだをためてやさしくほほえんだ。
ほんとうに、うれしそうだった。
ハルくんは、ドキドキしてたが、とてもうれしくなった。
はなしかけてよかった。もうだいじょうぶ。
それをみていたともだちも、すこしづつあつまってきた。
ほんのすこしのゆうきで、みんなしあわせになれた。
7
ハルくんは、
「おじいちゃん、ありがとう!!
ぼく、もうじぶんの こころにウソをつかないよ。
ともだちとケンカはしても、いじめはぜったいしない」
そのとき、
「ハル、もうだいじょうぶだ。じいちゃんがおらんようになっても 、
いまのように、きよいこころでおったら、まわりのしぜんたちが、
ハルのことをたすけてくれる。きよいこころをもちつずけるんじゃ!!
ハレラマ〜!!」
てんごくから、おじいちゃんのこえがした。
ハルは、こころのなかで、
「おじいちゃん、ありがとう。 おじいちゃんのおまじないのことば、
ハレラマ、、、って、ぼくのパワーのことばに するよ。
ハレラマ〜 ハレラマ!!」
げんきがでてくるよ。 ハレラマ〜〜!!
おしまい
8