調律師の悲しみ
の仕事をしてて悲しくなることは、

やはりいろいろありますが、いろいろ書いてみたいと思います。

まず、金持ちほどピアノを大切にしない。(もちろん何事にも例外はあります)
彼等を見ていると、そんなものだめになってもまた買えるから。という心が見え
ます。

直前、当日キャンセルを平気にする人がいること。そういった人は毎年のように
する。こちらから見るとまさに病気です。最近は理由があってあまり動揺しなく
なりましたが、
「友達と買い物にいくことになったので、キャンセルするわ」ってかる〜く言わ
れると、以前は何とかが煮え返ったものでした。もちろんあまりにもひどい人は
もう連絡しません。行きません。

これから書くことにも例外がありますので、心して読んで下さい。僕の母も小学
校の先生をしてましたが、一般的に学校の先生という職業を長年していると一般
常識がなくなるといわれています。母&叔母を見ててもそう思いました。笑
学校へ調律に行ってもですが、個人的な調律のお客さんで学校の先生の多くは、
やはり一般の常識に欠けると感じる事が多々あります。生徒からはもちろん、出
入りする業者からいつも当たり前のように頭を下げられ「先生。先生」と言われ
ているとやはりおかしくなるのでしょうね。スリッパは出さない、お茶は出さな
い、部屋はかたずけてない、(家の母もそうだけど、先生で掃除ができない人は
とても多い) ピアノを大切にしてない。そしてやはり当たり前のようにキャン
セルする。つまり職業的に、自分の思うままに周りが動いてくれることが多い中
にいるからそれが当たり前になってしまうのでしょうね。やはり、そういった職
業病欠陥を持った人に、子供達がいろんな事を教わると思うと悲しいな〜って、
調律にいった時に気まずい思いをしながら思っています。

あと、意外に思う方が多いと思いますので書いてみます。音楽をやっていて一番
耳の悪い楽器の人は何と思いますか?それはピアノです。なぜならば、それ以外
の楽器は(声楽科を含む。彼等は自分で自分の声を調律しながら歌う)自分で自
分の楽器を調律します。ですから調律師ほどでないとしても自然と耳が鍛えられ
てくるのです。しかしピアノは他人(調律師まかせ)なのでその部分が発達、訓
練されません。ですから、弾くのがとてもうまくても耳の悪い人も多い世界です。
もちろん逆も例外もあります。
こんな例もありました。 田舎で(富山で)僕の7つほど後輩の女の子から調律を
頼まれ行ってみると7年も調律をしてありませんでした。もちろん7年分狂って
います。この子(といってももう3人の子持ちでピアノの先生)は大阪音大のピ
アノ科を卒業してます。
時間と手順をかけて直し、きれいになったので、では弾いてみて下さいと言って
弾いてもらったんですが、感動の表情もなく、分かりませんか?と聞くと、自分
は耳が悪いのでわからないと正直に言われた。これは一般の子供や大人でも分か
るくらいのものなんだが、流石に僕も驚いた。いろいろ話を聞くと、音大を目指
し入ったのに、両親は昔から良くて二年に一度しか調律をしてくれなかったそう
です。
とても可哀想に思いました。ただでさえ耳が上達しない楽器なのにこれでは、、、
この例をあげたのは、がんばっていい音にした、できたのにお客さんに分かって
もらえなくて、感謝されない時も、ちと悲しいというか、寂しいというか、残念
な気持ちになるからです。はい。

あと、ピアノ調律師はピアニストやピアノ講師にも、ピアノの 事を教える立場、
職業ですが、中にはそれを勘違いされて、僕が説明しても「そうですか?うちの
ピアノの先生はちがう事を言ってましたよ。」と不満な事を言われる時です。
180度間違っているのにそっちを信用するなら、どうにでもしろ!って心の
中で憤慨しても(笑)ぐっと押さえて、例え話しをしてあげます。
「奥さん?漁の話しを聞くのに、魚屋の女将さんの話を信じて、漁しの話を信用
しないのですか?」って。それを言うと、ハッとしてグーっときて!ってトシち
ゃんに変身してくれればまだいいいんですが、それでもわかんない人も次の年か
らは行きません。笑 まあこれも悲しいことですね。

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