調律師のインチキ

ンチキ? 調律師のやれ
ることってあるの? って思う
ことでしょう。
そうですね。あってはならない
事です。
ですからここでは、
僕が発見した前の調律師がやっ

た事を書いてみたいと思います。

昔からよくある事は、カワイの調律師が薬を入れたと偽り、入れてはいる
んだけど、前のお客さんから引き抜いてきた古い薬をまわしまわし入れて
いく。ああ、、なさけないこと!
これをどうして発見したかというと、お客さんからの紹介で、始めての家
に行きました。カワイでした。調律が終わり、薬を入れ替えようと下の前
板をはずして、中の古い薬を取り出してみると3年前の日付けが記入して
あった。お客さんに「あれ?調律は一年前ほどにやってあるんですよね?
毎年、薬を入れ替えてもらってますよね?」「はい。たしかに去年もやっ
てますし、薬も入れ替えてもらって代金を払ってます」
それから僕は、その問題の薬をお見せする。真っ青なお客さん。

実は、これってとても多いのです。もう何十回このような場面をむかえた
ことやら。それも関東でも北陸でも何度も何度も発見しました。しっかり
しろよカワイの調律師!カワイの調律師みんながみんなそんな事をしてる
とは言わないが、割合が多すぎるよ。信用をなくすよ。まじめにやってる
カワイの他の調律師が迷惑するでしょ!

あと、家の子供の先生に調律を頼まれ、行ってみると去年やってあるとい
うのに、5年分ほど狂っていた。まあ、、弾く量が多いのかと思ったが、
その先生に友達も紹介され、行って荒手のインチキを発見。同じ調律師が
やった事なんだが、中を総取り替えするからと言ってピアノを運び出し、
二週間たって持ってきて、代金が45万円なり! 
それを僕はピアノの蓋を開ける前に聞いた。悪い予感。前にも書いたよう
に大概、運び出すっていうのは不正が付き物だ。開けてやはりガックリ!
何にもやってない、、、完全なサギ!白サギならぬ真っ黒サギ!!!
あまりにも可哀想だったんで、言うのも少しためらったが、どうですか?
いろいろ新しくなってますか?って聞かれたので、しかたなく全部を話した。
そのお客さんはびっくりして嘘でしょ?っていう声と顔。で、僕は中を見せ、
「この中で一つでも新しそうな部分はありますでしょうか?」と逆に聞いた。
総てが30年分のホコリとすり減りで一目瞭然。子供の先生に聞いた話で、
その調律師は僕の国立音大調律科の後輩がやってる輸入ピアノの会社に関係
してるということだったので、軽く探りを入れると、電話係りが、「その
方は事情があり最近出入りしていません」とのこと。

45万といえば、安めの新品ピアノも買える。それとその騙された方は、科
は違うが国立音大の先輩。音大を出てピアノ講師をしてても、ものように
騙されるわけです。

もう、このような文を書くだけで、気分が悪くなる。悪いやつはどこにでも
どんな職業にでもいるもんだ。ああ、なさけない!

あと、軽めのジャブをひとつ。カワイの事を書いたので、ここで山葉のこと
もひとつ。
カワイの調律師はインチキするやつもいるが、本社が調律師に命令してお客
さんのピアノの中に薬を入れることを強制している。お客さんにとっては、
お金は余分にかかるので不満かもしれないが、これは本当に必要なものなの
で、了承されたらいい。カワイが強制するのは、もちろん金儲けも絡んでい
る。その薬はカワイが製造しているからだ。
で、山葉の場合はどうかというと調律師の10人中、良くて3人ほどしか薬
を入れてないようだ。(僕のこの25年あまりの経験で)本社が命令して
ないからだ。なぜならばカワイと違って製造していないから。ある時から山
葉の名前が入った薬も数種類出たがあい変わらず強制していない。なぜか?
いろんな訳があると思うがここではあえて書かない。ただ、一番醜いのは、
数年前まで、お客さんから薬の質問があって、そんなもの必要ありませんと
答えていたのに、その楽器店で売り上げをアップさせる為に、入れることを
統一した後、何だかんだといって入れるようにしている事。そして影で「あ
んなの効かない」とあいかわらず言ってるやつの多いことったらありません
でっせ。そのようなお店も関東で優良店になっていますからね。何が優良?
売り上げで?

僕はある時、手伝いをしている楽器店の中で、あるお店からの依頼でいった
お客さんのピアノに薬が入っていなかった。そのお店からは、この薬を入れ
てくれと山葉なのに山葉以外のメーカーの薬を渡されている。お客さんに薬
の説明をしたら、前の○○さんは入れなくていいと言ってましたよ。その○
○とは、あんなの効かないと陰口を言ってたやつだ。僕はそのお客さんに言
った。「ああ、あの方も今は入れてますよ。この薬もあの方から渡されたも
のです」お客さんは『?』な顔をしながらも納得。

僕が情けないと思うのは、彼等が(特に山葉関係が多い)効かないと言って
いるが、自分で体験して言っていないという点 だ。まず、基本の量を入れて
いるか、基本を上回る量の湿気がある部屋じゃないのか?その年の気候はど
うだったか?普通、これらの事を考慮して薬の量や、場所を工夫してピアノ
を守るのだ。そういったことをまったく最初から体験せずに口だけ達者。笑
僕は25年どころか、ピアノが5台あるピアノ教室の家に生まれ落ち、幼少
の頃からピアノを触り、調律師になって25年もその薬で研究(ちと大袈裟
さだが)している者だ。だからそのような口をきいてる老若の調律師に遭遇
すると可哀想に思う。
ここで想い出話しを一つ。小学5年生の頃だっただろうか(家の5台中2台
がヤマハ だった)冬にヤマハのグランドで弾いてると、目の前の譜面台の
下に見える金色のくぼみに(調律する為のピンなどがある部分)水がたまり
ベショベショなのだ。よく見るとそのピンもサビて、まっ茶色。
「おかあちゃん!大変や!ぞうきん!ぞうきんもってきて!」って叫んだ。
雑巾で拭いてから、ほかのピアノを見てみるとカワイのグランドはそうなっ
ていなかったのだ。同じ大部屋にあるニ台のピアノなのになぜこの違い?
今となってはわかる。カワイには薬が入っていたから助かったのだ。

お陰で、僕の株が上がることも多い。笑 
山葉のピアノの殆どがこのように調律など技術だけで湿気対策をしてないの
で、よく紹介で修理の依頼がくるのだ。
そういったピアノは100%薬が入っていない。お客さんに説明し、修理し
て薬を入れ、その後毎年修理もなくお客さんに感謝され続けるのも山葉さん
のお陰でやんず♪

           もどる